【再改定】統一教会がレーガンを登場させ、彼が共産主義を終わらせたのか?
本投稿は、昨日の以下の記事に続いて、統一教会が彼らの偉大なる人類への貢献として主張する「共産主義の終焉」に多大なる影響をもたらしたということは正しいか?という点について検討する内容となっています。
1)ゴルバチョフは文鮮明の事は重要視していない
昨日の記事は、ゴルバチョフ大統領(当時)と文鮮明がモスクワで会談し、共産主義崩壊のきっかけを作った(統一教会の主張によれば、統一教会は「文鮮明師こそ共産主義崩壊の仕掛人」という主張を、ゴルバチョフ本人の自叙伝と、ソ連・ロシアの研究者によるゴルバチョフの生涯の分析から述べたものです。
結果はその投稿をご覧いただけると明らかな通り、ゴルバチョフの自伝にも研究所にも一切登場しません。また、1990年4月はベルリンの壁が崩壊した直後であり、その収拾をどうするのか?という点がゴルバチョフを悩ませていた過大であって、1986年からスタートさせていたグラスノスチを改めて宣言するような「言論人会議」に関心が高かったとは思えない、という点を述べています。
さて、それではこれで統一教会の主張する「文鮮明がソ連・共産主義を終了させた」という主張を否定するに十分かと言われると、これだけでは足りません。
2)統一教会の主張する「共産主義崩壊に果たした役割」
統一教会が主張しているのは、以下のようなストーリーです。
・自分たちがワシントンタイムズを作り、
今までは単に「そんなの盛りすぎ」とだけ書いてきたんですが、今回ゴルバチョフの自伝などを読んでみて、この主張がどれだけ荒唐無稽なものか改めて思い至りました。
① 統一教会の主張が正しく、彼らのおかげでソ連が崩壊するためには?
上記のようなストーリーが成立し、統一教会があったためにレーガン大統領が登場し、その結果として共産主義を崩壊させることができたということを主張するためには、少なくとも以下のような状況でなければなりません。
・レーガンが登場する前まで、ソ連・共産主義国家の経済運営は
上手くいっていなければならない。
控えめに言っても、失敗した状態にあってはならない。
・しかしレーガンが当選し、SDI構想に対抗しようとしたソ連は
過大な軍事費を注ぎ込まなければならず、
結果として経済運営に支障が生じた。
・そして遂に国家運営が破綻し、共産主義も放棄した。
この筋書きが成立して初めて統一教会が組織を挙げてレーガンを大統領に当選させたことでSDI構想が具体化され、そしてその結果ソ連が滅びたのだと言えます。
仮に当時の事情を知らなかった人であったとしても、以下の三つの年号を見れば、統一教会の主張がいかに荒唐無稽か理解できることでしょう。
1981年1月20日:レーガン、米国第40代大統領に就任
(在任期間: - 1989年1月20日)
仮にも超大国だったソ連が、レーガンが大統領に就任してからたったの11年で共産主義を放棄せざるを得ないほどに一気に破綻したと言えるか?
坂を転げ落ちるように組織は崩壊するものだ、という主張はありますが、仮にも「東側」の世界の盟主であったソ連がわずか10年でその座をおりることになるというのは、いくら何でも無理があります。
これは観念的な話でしかありませんが、実際の歴史を振り返って検討してみることにしましょう。
② ソ連の停滞はいつから始まったか?
昨日、引用したゴルバチョフ自伝や、「ゴルバチョフ その人生と時代」から引いても良いのですが、緻密に過ぎるのでここでは概略をまとめたサイトから引用することにいたしましょう。
こちらのサイトは、自伝のように数百ページもありませんから、ぜひご覧いただきたいのですが、要旨をまとめるとつぎのようなことになるでしょう。
1920年代半ばから1952年まで、ソ連共産党の指導者であったヨシフ・スターリンが恐怖政治を敷いた。
スターリンの死後、「脱スターリン化」を掲げて、スターリンが作った軍事組織や刑務所などを解体、厳しい規制も若干緩めた。
しかし、それでも経済の全てと国民の日常生活のほとんどを管理下におく。
世界に共産主義を広める活動を行う。
ソ連の従属国に対して厳しい統制と支配をとる。
アメリカとの軍拡競争に多額の資金を費やす。こんな中でゴルバチョフが登場し、1986年のチェルノブイリ原発事故で共産主義の硬直した体制に危機感を抱き、ペレストロイカとグラスノスチを断行しようとしたものの、結果としてソ連に対する批判が強くなり、ソ連経済は更に深刻な状況に陥った結果、ソ連を構成する共和国は独立、東欧諸国もソ連から独立し、ソ連および共産主義国家が崩壊していった。
もう以上、おしまいで良いのではないでしょうか?
スターリンの時代から強権政治をやりすぎ、計画経済は破綻し、レーガン云々の前に東側の盟主として軍拡競争に膨大な資金をつぎ込んでいたため、ゴルバチョフが登場した時にはもうどうしようもなくなっていました。
そしてゴルバチョフは、この状態をなんとか改革しようとした結果、却ってパンドラの箱を開けてしまい、一気に崩壊したというのが自然な成り行きでしょう。
その最後の最後の時に、たまたまアメリカ側で登場したのがレーガン大統領だったという以上のものを読み取ることはできません。
③ ソ連歴代の書記長のいつから経済停滞が始まったか?
先日投稿した時点では、②の概要であとはご自分でと書きましたが、予算のことを調べたりしている間に、ソ連書記長の記事を見ると想像以上に酷いことが次々書かれていました。
ソ連革命以後、スターリンがトップに上り詰めるまではトップの交代もあったようですが、スターリン以後ゴルバチョフにいたるまでの6代の書記長とその在位年数を拾うと次のようになっています。
ヨシフ・スターリン 30年6か月
ニキータ・フルシチョフ 11年1か月
レオニード・ブレジネフ 18年1か月
ユーリ・アンドロポフ 1年3か月
コンスタンティン・チェルネンコ 1年1か月
ミハイル・ゴルバチョフ 6年10か月
スターリンが酷すぎたというのはありますが、その後を継いだ二人もウィキペディアを見ただけでも酷い記述が並びます。(最近の日本の政治家を見ると、あまり批判もできない気もしますが)
フルシチョフとブレジネフの2名の在任期間だけでも1953年9月から1982年11月と約30年。その前のスターリンが30年ですから、この3人だけで60年もソ連を統治していたことになります。
スターリンはもう論外なのでここでは触れませんが、その後を継いだフルシチョフの政治については、こんな記載が見えます。
フルシチョフは死ぬまでルイセンコの学説を信じ続け、遺伝子の存在を信じず、ピョートル・カピッツァ(ノーベル物理学賞受賞者)、イーゴリ・クルチャトフ(ソ連核開発の父)、息子のセルゲイ・フルシチョフ(ミサイル開発技術者)、娘のラーダ(『ナウカ・イ・ジーズニ(科学と生活)』誌の副編集長)の説得にも耳を貸さなかった。結果としてソ連の農業生産高は大きく落ち込み、アメリカからの穀物輸入に依存する事態に陥った。
フルシチョフの書記長在位は、1953年9月7日から1964年10月14日までですが、この時すでにこのような状況に陥っていました。
またフルシチョフは、公然と暗殺まで準備されていたと書かれていましたが、わが国でも元首相が実際に暗殺されていました。あまりソ連のことをあげつらうことができません。
フルシチョフによる集団指導体制を無視した自らへの権力の集中(第一書記と首相の兼任)、(中略)同志に対する叱責や暴言や外国での粗野な振る舞いを繰り返したため、ひそかに(中略)反フルシチョフ・グループがフルシチョフの追い落とし、あるいは暗殺を着実に準備していった。ブレジネフはフルシチョフの毒殺や専用機の爆破をも企んだとも言われている。
フルシチョフの後を継いだブレジネフも大概です。
ブレジネフはフルシチョフの下でスターリン個人崇拝批判・スターリンの大粛清による犠牲者の名誉回復とソビエト連邦の知的及び文化的政策の慎重な自由化・集団指導体制を支援していた。しかし、自らが指導者に就任すると直ちにこのプロセスを逆に行い始めた。
(中略)ソ連構成初期には見られなかった大規模な汚職を促すことにもなった。
何よりブレジネフ自身が、イギリス製のロールス・ロイス、西ドイツ製のメルセデス・ベンツ・W100、フランス製のシトロエン、アメリカ製のリンカーン・コンチネンタルなど西側の高級な外車や洋服を好む趣味がある汚職体質の持ち主で、身内にもスキャンダルが絶えなかった。娘のガリーナの交友関係や派手な私生活が噂された他、息子のユーリーも横領の疑いで取り調べを受けている。こうした一族をめぐる醜聞は側近でイデオロギー担当書記のミハイル・スースロフが揉み消すことで明らかにならなかったが、彼が亡くなると隠し様が無く、スースロフ後継のイデオロギー担当(第二書記)で国家保安委員会 (KGB) 議長としてブレジネフに仕えていたユーリ・アンドロポフさえもこれには看過出来ず、ブレジネフの死後に自らが最高指導者となるとブレジネフの親族や遺族を汚職容疑で逮捕・摘発している。
この記載はどこかの宗教団体でも見かけたような気がしますが、それはさておき、1979年のアフガニスタン侵攻はブレジネフの決断によるものでした。
アフガニスタン侵攻
1979年12月に反政府ゲリラへの対応に苦慮していたアフガニスタンに干渉する決定を下した事は、ブレジネフの後継者に対する最終及び致命的な遺産となった。アフガンへの介入はデタントの終焉を招き、アメリカが課した穀物取引停止などの経済制裁や1986年のサウジアラビアの石油増産による原油価格下落と同時にソ連の経済問題を急速に悪化させた。アメリカはカーター政権で軍拡プログラムを開始し、後任のロナルド・レーガン政権で加速された。アメリカとの軍拡競争における大きな経済負担はソ連の経済状態をより一層の悪化に導き、後のゴルバチョフによるペレストロイカと、更にはソビエト連邦の崩壊に結びついた。
この部分の記載を見ると、統一教会の信者が喜びそうなことがかいてありますが、慌ててはいけない。
彼の評価の部分にはこう書かれています。
評価
ブレジネフはスターリンに次ぐ長期間に渡ってソビエト連邦を統治した。彼は基本的経済問題を無視してソ連の政治体制の衰退を黙認し、「沈滞の時代」を長引かせたことで非難され、そして彼の貪欲な虚栄心はさらに非難された。ただ経済問題はスターリンから受け継いだ社会主義体制が本質的に保有するものでもあった。社会体制改良の試みは、彼よりはるかに若く最終的な後継者であるミハイル・ゴルバチョフに引き継がれた。しかし、ソ連崩壊後の現在のロシアではブレジネフ時代を安定した福祉と生活が保証された時代と評価する向きも少なくない。
ここに書かれているように、経済問題は「スターリンから受け継いだ社会主義体制が本質的に保有するものであった」のです。
統一教会が西側で何か叫んでいたから共産主義が崩壊したわけではありませんでした。
この点をもう少し触れてみることにします。
④ 統一教会が「東側に及ぼしえた影響」は?
今回、ゴルバチョフの自伝を見ることであらためて感じたことがあります。
統一教会は、西側国家である韓国を発祥の地とし、日本のおカネを利用してアメリカで基盤を拡大していきました。
西側諸国では「勝共連合を作って、共産主義を終焉させるために頑張ってきた!」と主張していますが、考えてみれば西側諸国の中ですら、日本のおカネで政界工作をしてようやく自分たちのポジションを守っているだけです。
彼らは自分たちの実績を通じて、尊敬と敬意を勝ち得ているわけではありません。
であれば、彼らが東側諸国にどれほどの影響を及ぼすことができたでしょうか?
伝えられるところによれば、文鮮明は東側諸国に統一教会の宣教師を「バラフライ作戦」という名前で送りこんでいたようです。
こちらのリンクは、そのバタフライ作戦も含めて韓国の(信者でない)小説家が統一教会の資料提供を受けて書いた小説まで出ています。
他のバタフライ作戦に関するサイトを読んでも、地下活動をしていたことが把握できますが、当然ながら厳しい統制が敷かれていた東側諸国では地下活動以上のことはできていなかったようです。
上記の「ソ連崩壊|原因と崩壊後までをわかりやすくまとめて解説」でも記載されていたように、ソ連は共産主義を世界中に広めるための活動をしていましたから、それを邪魔する統一教会が邪魔だったことは間違いないですが、東側への影響は及ぼせていなかったことでしょう。
あくまで共産主義それ自体の過ちによって自壊していったのであって、統一協会が西側で頑張って活動したから、ソ連はじめ東側諸国が停滞したわけがないのです。
わざわざ絵にするまでもないですが、イメージ的にとらえることも大切ということであえて描いてみたものがこちら。
西側諸国で共産主義を広めようとする活動の邪魔になっているだけであって、東側に藤一教会が影響を及ぼしたわけではないことが視覚的にも明らかだと思います。
もうここまできたら「ワシントンタイムズを通してレーガンを当選させたから」とかいう戯言は遠慮願います。
また、この絵を眺めてみて改めて思うのは、彼らは西側において政治家に取り入るために反共・勝共を唱えていただけではないか?という点に思い至ります。
バタフライ作戦に従事して、命を落とした宣教師もいたとのことですので、最前線で命がけで活動していた信者の方々は純粋な動機でやっていたのでしょう。
それは日本でも霊感商法を正しいことだと信じ込まされてやっていたのと同じことです。しかし、こうして絵にしてみると、日本のカネで作った政治力で統一教会は何ができたのでしょうか?
共産主義の崩壊?
もう、うんざりするほど書いてきたのですが、最後に改めて、それは彼らが自ら自壊していったことであって、統一教会が活躍したおかげで滅んだのではありません。
国際ハイウェイや国際祝福などについては、長くなるので本稿では割愛します。
3)ソ連崩壊に統一教会が貢献したという主張はブーメランになるとは?
さて。本日のこの投稿について、以下のようなツイートをしました。
彼らが使う、以下のロジックを認めるなら、それはそれでもう一つ、彼らにブーメランが突き刺さる。
— KIB: Kurogane in Black (@KuroganeInBlack) 2023年1月29日
ワシントンタイムズを作った
↓
レーガンを当選させた
↓
レーガンはスターウォーズを主導
↓
ソ連は困窮して、共産主義崩壊
この点について、説明しておきます。
この主張が正しいとすれば、「レーガンがSDI計画でソ連の軍事費を引き上げたせいで、経済政策が破綻したので崩壊した」ということになります。
もしこの統一教会の主張を是とするなら、彼らが北朝鮮に4500億円のお金をつぎ込んだことについて、「これは平和目的のおカネだから、軍事増強には使われていない」という主張が、嘘であることを自ら認めたことになります。
国の予算には限りがあるので、その使途として軍事費に回せば、国民の生活に回すためのお金が無くなって破綻すると言っているのですから、北朝鮮が限りある予算しかなかったところに、GDPの10%(これは、35億ドル計算の場合。)
参考に35億ドルが北朝鮮にどれくらいのインパクトがあるのかを示しましょう。
— KIB: Kurogane in Black (@KuroganeInBlack) 2023年1月27日
北朝鮮のGDPは2019年で335億ドルだそうです。
35億ドルはその10.5%にあたる。
そんな額のお金が月から降って来た。
日本で同じ比率で計算すると、50兆円です。
これが意味がない訳ないんですよ。
4500億円をつぎ込んだ場合は、GDPの13%になります。
こんなおカネが降ってきたのに、軍事費のために入れたわけではないからセーフって、ソ連崩壊で主張している内容とまるっきり真逆の事を言ってることは理解しているのでしょうか?
ソ連崩壊が統一教会の功績で、それはレーガンがSDIで軍事費にお金を使わせたからだ、と言うなら、北朝鮮にどんな目的であれお金をつぎ込んだら論理矛盾になります。
言葉だけだと分かりにくいので、具体的にどれだけのインパクトがあるのかを図示してみることにします。ただ、ソ連の当時のGDPがどれくらいの規模なのか、正確な情報と言えるか不明でしたので、参考として国家予算を例にとってみることにします。
正確な分析とは言えませんが、あくまで参考としてご覧ください。
①ソ連経済の1987年の歳入・歳出を事例に検討
ネットで調べるとこんな資料がありました。
1987年のデータは歳入・歳出がそろっていたので、これをサンプルにしてみます。
ソ連の1987年の歳入・歳出そそのまま積み上げ棒グラフにしたのが、下図の一番左側の二本となります。
国防費が4.6%、202億ルーブルだそうです。現在の価値でいくらかは調べていません。
②統一教会の主張はレーガンのSDI計画でソ連の国防費が引き上げられたので、国民経済が破綻した、という主張
これに対して、統一教会はレーガンのSDI計画でソ連の国防費が引き上げられたので、国民経済が破綻したと主張しています。
あくまで参考として、イメージをつかむために、国民経済費(歳出の緑色の部分)と、社会・文化費(歳出の濃紺の部分)を削って軍事費に回したと想定しています。
この金額は、1,132億ルーブルと仮置きしました。ここから800億ルーブルを軍事費に回したので、軍事費は1,002億ルーブル、行政管理費に32億ルーブル、その他歳出に300億ルーブルを割り当てたものとしています。
繰り返しますが、これはあくまで統一教会の主張を理解しやすくするため、あえて極端な数字を置いています。
このような状況にしたものが、上記のグラフの真ん中の二本となります。
統一教会の主張は、「レーガンのSDI構想で国防費を引き上げざるを得ず、その結果、ソ連が破綻した」という事ですので、限りある国家予算のうち、国民経済に回す分を軍事費に当てたために経済破綻したのだ、と主張しているのですから、実際の額がここまで極端だったかどうかはさておき、この真ん中の二本のグラフが統一教会が主張する、「ワシントン・タイムズによってレーガンが大統領に当選し、SDI構想によって共産主義を終了させた」という事の理屈になっているはずです。
③統一教会が北朝鮮でやったのは、この真逆。天に浮かぶ月から、GDPの13%に及ぶお金が降ってきた
一方、ソ連崩壊とは反対に、統一教会が北朝鮮にやったことは何か?
ソ連が軍事費を増強すれば国民経済が疲弊して破綻した、というストーリーとは真逆になります。上のグラフの一番右側がそれにあたります。
北朝鮮のGDPは2019年時点で335億ドル。約3.5兆円ぐらいとしましょう。仮に4,500億円を統一教会が北朝鮮に提供したということは、GDPの13%もの金額を「差し上げてしまった」ことになるわけです。
ここで、北朝鮮は国家予算も公開されていませんが約2兆円と推計されています。
そこで、ソ連経済の1987年の歳入4,357億ルーブルの13%=1,132億ルーブルとなります。国家予算の26%もの金額が空から降ってきたわけです。
これだけ大きな金額が何もせずに空から降ってきた場合、国民経済に回す予算を一切削ることなく、軍事費を増大させることができることを示しているのが、上記グラフの一番右側になるわけです。
統一教会が北朝鮮について展開する、「統一教会が持ち込んだお金4,500億円は国民経済費として使われたのだ!だから北朝鮮の軍事増強には使われていない!」という主張をソ連の1987年のケースに当てはめたのが、この右側のグラフというわけです。
しかし誰が考えても分かるように、北朝鮮が統一教会に「これは国民差経済向けに使います」と揉み手をしながら約束して、そこに使ったとしても、本来そこに使ってしまえば軍事費には回せなかった分が回せてしまうことになる。
一度財布に入ったお金には色はついていないのです。
上記シミュレーションは、あくまでもソ連の1987年の国家予算をもとに、「北朝鮮で言えばどういう状況であったか」を示すためのものですが、統一教会が北朝鮮に4,500億円を提供するとは、とんでもないことを意味することが理解頂けるかと思います。
ここで注目すべきことは、ソ連では財布が変わらないまま軍事費を釣りあげさせることで共産主義を崩壊させたと主張する一方、北朝鮮はその体制を維持・延命に手を貸したことになっている、という点です。ソ連と北朝鮮では、統一教会は言っていることが真逆となっています。
ソ連では軍事費が増大した結果、経済的に困窮した結果、共産主義が破綻した!共産主義を崩壊させた功労者は統一教会だ!と言い、北朝鮮では軍事費に回せるお金を、もしかしたら国家予算の25%以上もつぎ込んでしまった可能性があるのです。
統一教会の信者は、共産主義を滅ぼしたのは統一教会の功績だ!文鮮明がゴルバチョフと会ったのだから!さらに金日成とも会ったんだぞ!とか言うのですが、これだけ書けばどれだけデタラメな主張を自分たちがしているのかお分かりいただけるでしょうか。
改めて、統一教会は共産主義を崩壊させたのですか、それともさせてないのですか?
ソ連に対して行ったことと、北朝鮮に対して行ったことが違うのはなぜでしょう?
これに応えることができるのでしょうか?言ってることがもうあちこちで破綻しています。
4)まとめ
昨日の「文鮮明はソ連・共産主義を終わらせたのか?」に引き続き、統一教会の主張するワシントン・タイムズを作ってレーガンを当選させ共産主義を終わらせたという主張は、たまたまそういうタイミングだっただけで、統一教会が必死に努力したからではないことを述べてみました。
統一教会の信者が、「日本のメンバーが命がけで献金した結果、共産主義を防ぐことができた。平和の配当にあずかるのは日本のメンバーのおかげなんだ」などというのは、付き合う価値すらない戯言です。
そういうスローガンで、西側のタカ派を巻き込むための工作資金になっただけで、共産主義の崩壊には何ら、決定的な役割は果たしていません。
影響力を及ぼすことができない東側の経済を、遠隔で停滞させることが本当にできる能力があったりするなら、今現在のロシアを止めたり、北朝鮮や中国の横暴もとめて見せたら良いのです。
そんなことができるわけがないし、実際統一教会は何もできていません。であれば、ソ連の崩壊についても同じことが言えるのです。
統一教会の信者の皆さんは、おちついて現実を見つめ、「統一教会のおかげでソ連が崩壊した!」「文鮮明とゴルバチョフが会ったことがそのきっかけだ!」などという、お伽噺よりももっと非現実的なファンタジーから目を覚まして頂けますよう、心からお願いいたします。