KIB: kurogane in black

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死の淵からの生還

今年の初めに(と言ってもわずか1ヶ月前にしか過ぎないんだけれども)、UCの内部改革は可能か、ということについて記事を書いた。

UC内部からの改革は可能か?

kib.hateblo.jp

この記事で書いた内容は、経営論の初歩の初歩、どんな組織であっても運営しようとするにあたって必須の内容だ。運営がうまくいっている会社は、これが自然とできているからうまく行く。

一方、運営に失敗した会社であっても、この基本に立ち返り、何度も何度も自分達は何をする会社なのかを問い続けることで、復活を遂げる。

 

本社も開発も全て広島にあり、日本でのシェアもそれほど高くない、どちらかといえばマイナーなマツダという自動車会社は、この基本的な経営論を愚直に愚直に実践してきたことで死の淵から生き返ってきた。

そのプロセスを見ると、まさに前回の記事で書いた、経営者は「自分達は何をする会社なのか」を決め、それにしたがってヒト・モノ・カネを分配し、皆が一つとなった結果、今の復活があるということが良く分かる。

UCであろうがなかろうが、このマツダの復活のストーリーは胸を打つ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150208-00000006-wordleaf-ind&p=1

全部で5ページあるが、分量は大したこと無いので、非一度見てほしい。
素晴らしい復活の物語だ。

フォード出身のマーク・フィールズ社長(前)が、「マツダとはどんな会社なのか」を定義した。マツダとは、小さいころ車が動くのを見てブーブーといって心を動かしていた、あの素晴らしい体験ができる車を作る会社だ、と。

 

トヨタの向こうをはって5系列の販売チャネルでありとあらゆる車種を売る自動車会社を目指そうとして失敗した。そんな会社ではなく、こどもの頃に感じていた感動を生み出す車を作る、それがマツダじゃないかと。

5ページ綴りの最後の記事の末尾に紹介されている「ブランドエッセンスビデオ」はこちら。


ブランドエッセンスビデオ/Mazda Brand Essence Movie

このビデオはたった2分41秒。このほんの二分半ちょっとのビデオを、マツダの関係者は毎年一回、必ず見るのだそうだ。株主総会ではこのビデオが皮切りになる。

デザイナーや幹部だけでなく、工場で生産ラインに付く従業員も、マツダ病院の看護師といった自動車作りには直接には携わっていない人も、全てが見るのだそうだ。

ユーチューブのコメントにもあるが、この社内ビデオに感動する人も多いだろう。マツダの人は、「俺達はこんな感動する車が作りたかったんだ」という事を毎年一度は必ず確認する。製品を作り上げる過程で、「この車は感動するか?」「理想の車か?」を問い直すだろう。車を作るだけのライン工も、「俺達は感動する車を作っている」誇りを持つだろう。できた車が評価を受けるとき、マツダ病院の看護師も、その賞賛を共にするだろう。

マツダも人の作った組織。中には問題を抱えた人もいるだろうし、完璧とは言えない点もあるに違いない。

それでも、「下手すれば倒産」の死の淵から立ち上がってきたことは素直に賞賛に値すると思う。

マツダは、トヨタにはなれないことを自らの体験から知った。

50%の人に好かれたら、50%の人に嫌われてもいいです」という覚悟がその程を示している。

万人に好かれる車は我々には作れない。我々の理想とする車を好きになってくれるお客さんのために全力を尽くす。マツダはこういった割りきりができる。

さて。万民を救済することを誓ったUCはどうだろうか?

2分が20分でも良いのだが、毎年一回、そのビデオを見るたびに自分達がよって立つべき原点に立ち返り、自分達の理想を確認し、全てのUCの関係者が、等しく目指すべき姿として訴えるビデオを作るとしたらどんなものができるのだろう?

お母様のビデオ?
7番目の息子のアヴァンギャルドな礼拝?

さて。君らには何ができるのだろうか?

一度といわず、100回、この記事を読み直した後、自分達ならどんなビデオを作るのか考えたほうが内部改革に役立つかもしれない。

もしそれが作れないようなら、君らUCの未来がどうなるのか、もはや語るまでもない。