KIB: kurogane in black

Yahoo!ブログ閉鎖に伴い移動しました。

王政復古の恐怖 (元記事の投稿日:2005年7月18日)

楽天ブログが閉鎖されてしまいました。削除されてもバックアップはとってるので、復元はできます。

以下、元記事は楽天ブログに2005年7月18日に公開したものをそのまま復元した文章です。
参考:元URL(現在は表示されません。)
http://plaza.rakuten.co.jp/kuroganeyashiki/diary/200507180001/

<以下、元記事の復元内容です。>

*********************************************

昔々、ヨーロッパはフランスに「朕は国家なり」とのたまった太陽王ルイ14世がおります。

マリー・アントワネットすら足下にも及ばないほどの浪費って、一体どれくらいだったのでしょうか?

マリー・アントワネットの浪費と言えば、東洋にも同じような浪費で国を傾かせた傾城の皇后もいますが、この皇后の場合、

金剛山に国庫の6倍にものぼる寄進を実施。国家財政が破綻状態に陥る

●自身の誕生日を祝う式典を実施。軍近代化のための資金を流用させる。

(王宮守護の近衛兵(5772人)に対してさえ、13ヶ月分の給与未払が発生)



と数字が出ています。

果たして、太陽王ルイ14世はどれほどのお金を私的に流用したのでしょう?

このルイ14世のこの混乱の後、フランスはその帳尻を合わせることができずに、マリー・アントワネットの時にフランス革命が起き(1789年)、人権宣言が出されることになります。



<人権宣言とはなにか?>

いきなり堅いテーマを持ち出しましたが、できるだけ簡単に行きたいと思います。

このページに

「フランス人権宣言とは1789年8月の憲法制定会議において採択された「人及び市民の権利宣言」のことであり、

「人権の無知、忘却(無視)あるいは軽視が、公衆の不幸及び政府の堕落の唯一の原因であると考え、厳粛な宣言の中で、人の不可譲かつ神聖不可侵の、自然権を、断固として述べた」


と書かれています。


つまり「朕は国家也」のルイ14世のように、勘違いした国王が権力を濫用すると国民が苦しむことを歴史的に経験してきたフランス国民が、人と市民の権利を保障する政治体制が必要であると、公式に宣言したということですね。


これは憲法学上、重要な意味を持つとされていますが、一方でこのフランス革命に遡ること100年、1689年にはドーバー海峡を隔てたイギリスで、権利の章典が制定されています。

このページに書いてあるように、権利の章典とは、

「議会の同意なく、王の権限によって法律を施行したり
 あるいは停止したりすることは許されない。」

ということをうたっています。そして、この権利の章典成文憲法を持たないイギリスにあって、マグナ・カルタとあわせて重要な根本法となっているそうです。

ちなみに、フランス人権宣言から100年前がイギリスの権利の章典の制定ですが、逆にそれから100年下った1889年に、大日本帝国憲法が制定されています。

ちょうど100年単位で、イギリス、フランス、日本の憲法がそれぞれ制定されているというのは面白いですね。



憲法はなぜできた>

ちょっと堅い話題が続きましたが、そもそも憲法とは何だったのでしょうか?

既に見てきたように、要するに「国家権力は勝手にふるってはならない」とうたっているのが憲法なのだ、ということができます。

このイギリスの権利の章典や、フランス人権宣言などが制定される前には、絶対王政時代であり、国王はいかなる権力を振るうこともできました。



国王にあらずとも、領主などには初夜権があったとも言われていますわね。酷い時代もあったものです。



ちょっと話がずれましたが、国家権力をもって国民の権利を侵害するようなことがあってはならないということを、名誉革命フランス革命を通じて、公式的に宣言しながら、近代社会というものが形作られて行くわけです。



<国家権力とは・・・>

では、国家権力とは何か?通常は三権と言われており、立法、行政、司法がそれにあたります。

つまりこの権力を勝手に振るってはいけませんよ、ということが憲法に書いてあり、さらに三権分立とは、この三権がそれぞれ牽制(チェック&バランス)することで、権力の濫用が行われないようにしようということを意味しています。

確かに、国王が法律を勝手に決めて、それを行わせ(行政)、従わない物は裁判権を行使して、刑を執行していたのが絶対王政であって、現代はそれはやめましょう、という形に成ってきている訳です。

だから、国家権力というものは、現在では誰かによって恣意的にはふるわれることがないようにしようという方向に働いています。(実際にそうなっているかどうかは、また別の問題ですが・・・・)


日本国憲法を見ても、

第一章 天皇
第二章 戦争の放棄
第三章 国民の権利及び義務
第四章 国会
第五章 内閣
第六章 司法
第七章 財政
第八章 地方自治
第九章 改正
第十章 最高法規
第十一章 補則

と、まず天皇の権利を制限し、国家間の紛争解決手段としての戦争放棄をうたっています。
有名な憲法九条はここに出てくるわけです。

次に出てくるのが国民の権利と義務であって、日本国民として法律で定められた国民に関しては、その基本的人権の享有を妨げられない、ということが書いてあります。

その次に例の三権はどのように成立するかを規定しています。

歴史的な人類の経験の賜として、国家権力はこれを濫用できないように定められ、また基本的に人権は最優先で尊重される、ということが国の最高法規としての憲法で明文化している訳です。


したがって、

1)基本的にはどの国、もちろん日本も国民に対して基本的人権を最優先で認めている。(北朝鮮は知らない)
2)ただし、その権利と権利が衝突してどちらかが侵害された場合にそなえて、各法律を定めてある

という形になっています。



禁酒法・禁煙法は成立するか?>

さて、ここで、統一教会のメンバー探偵ストーリー君の話を取り上げてみたいと思います。

探偵ストーリー君の話は、私のような器の小さい者には理解不可能なのですが、しかし・・・

大多数の人が努力しているのであれば、例えば、お酒とタバコを例題にすると、日本は法律で禁煙を制定するでしょう、でもされていません、
禁酒も法律で制定するでしょう、しかし、お酒にまつわる事件事故や障害などのトラブルが尽きないのは、なぜでしょうか、それは、解かっちゃいるけど止められない人が多い証拠でしょ。


この前後をすっ飛ばしてこの部分だけ抜き出しているからわかりにくい事を差し引いても無茶苦茶な主張のように見えます。

大多数の人が、酒やタバコに支配されないように努力しているのであれば(という流れのようですが)、日本は禁酒法や禁煙法を制定するだろうはずなのに、されていない。

酒に関する事件や事故やトラブルがつきないのは、分かっちゃいるけれどやめられないからだと・・・



この後半の方はたぶんに宗教的な見解に結びつき、私のような凡庸には理解不可能ですので、論じるのは控えさせていただきます。

ところで、大多数の人が酒やタバコに支配されないように努力=法律を制定って、どういうことでしょうか?


悪法も法なり」という言葉が示すように、どんなにへんてこりんな法律でも、それが制定されてしまえば、あとは自動的に転がるものが法律です。

人権擁護法なんかもその可能性が高いです。

既に長々と見てきたように、憲法基本的人権を国民に認めています。この人権には酒を飲む権利も、タバコを吸う権利もみな入っている。

それは個人の自由に属するものだから。

ただし、それによる弊害があるものについては、別途の法律を定めてその弊害が起きないようにしています。


たとえばタバコを吸う権利は認めるけれども、タバコを吸いたくない人にまでタバコの煙をすわせることで、「すいたくない権利」を侵害してはいけないから、という理由で健康促進法を定めて、公共の場所ではどこでもタバコを吸ってよい訳ではない、喫煙所ですいたい人だけが吸って下さい、としています。


酒を飲むことで弊害が事故が多いなどの弊害も確かにある。

しかし個人の酒を飲む権利を侵害することはできないのと、それによって生じる弊害 - 飲酒運転を制限するために、飲酒状態での運転は極めて重い罰則規定を定め、それによる事故死の場合には殺人罪に等しい量刑を定めています。


このように、基本的人権を認めると言うことと、その人権を認めたために生じる弊害のバランスをとるのが、人間の知恵であって、弊害がこれだけあるから、それを一律に禁止する法律を定めよう、なんてことはできるはずがない。


<こんな恣意的な立法が許されるなら>

タバコによる弊害が言われ、飲酒運転による事故が発生していることが指摘されたから、じゃあタバコを禁じましょう、酒を禁じましょうなんて、アル・カポネ時代のアメリカじゃあるまいし、そんなことができるはずがない。

そんな簡単な理由で何かを禁止できるのなら、外為法を姑息な手段でくぐり抜けて不必要に日本人の資産を韓国に持ち出す統一教会など禁教にして日本から閉め出してもらいたいし、日本に不法滞在し各種の凶悪犯罪を繰り返す率の高い韓国人など、ビザの発給条件を無茶苦茶に厳しくするか、できれば入国禁止にしてもらう、ということだって可能だ。


実際に統一教会外為法違反は、逮捕者などがいないから立証が難しいかも知れないけれど、少なくとも韓国人の不法滞在率や、韓国人による凶悪犯罪率の高さは群を抜いているというデータはあるわけで、禁酒法、禁煙法などが成立させられるのなら、韓国人入国禁止法だって成立可能なはずだ。

しかし、そんなことにはなっていない。



<メチャ甘な日本国憲法の元で>

日本の憲法は、その九十九条で、憲法の順守義務を天皇から始まって、公務員までに追わせることを明文化しており、それ以外の国民は憲法を順守するべき義務を課していない。

これに比べてドイツ憲法は、国民にすら憲法の順守義務をうたっているそうです。

こんなにぬるぬるな憲法の元で、憲法に反対する自由すら享受できる日本だから左翼が好き放題をやってみたり統一教会みたいな変な団体が勢力を持つことができるともいえるのでしょう。



禁酒法・禁煙法を簡単に口にするということは・・・>

このわずか数行の探偵ストーリー君のコメントから、統一教会がかつてのローマのように国教となり、統一教会信徒が統治者の立場にたったらどうなるかを想像すると、恐ろしい未来が待っています。

タバコは害だ→禁煙法を定めよう
酒は害だ  →禁酒法を定めよう
統一教会に反対するものはサタンだ → 統一教会反対者取締法を定めよう
・・・・


こんなことだってありうる。

冗談ではなく、統一教会では、神を中心とした王国=地上天国建設が、その最終目的であり、北朝鮮金正日王朝は、サタンが先行して作ったものであって、あれを神を中心として実現しなければならないと主張しているのです。

ここの日記でも書いた統一教会の最終的な救いの実現とは、形を変えた初夜権の行使とも言えるわけで、太陽王ルイ十四世の治世もフランス国民にとっては暗黒の時代であったろうけれど、月大王ムーン一世の治世もそれに負けず劣らず暗黒の時代になるような予感がするのは私だけだろうか。