KIB: kurogane in black

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国際ハイウェイの前にやることが山ほどあるんですが

いまどき、統一教会(家庭連合)の中ですらほとんど顧みられることなく、ブログ村では唯一、奇知外記とかいう管理人さんが取り上げるぐらいになっている国際ハイウェイ財団というのが今でも存在しているらしい。

十年前には、文鮮明氏本人の鳴物入りのぶち上げでベーリング海峡に橋だかトンネルだかを通すとか言ってましたが、あれも結局、どうなったのか教会内部で知っている人とかいるんでしょうかね?

と思ったら、案の定というか、ちょっとこれは後で触れます。

奇知外記って人は、国際ハイウェイとかピースロードとかやたらと「道」が好きらしいんで、趣味の投稿として取り上げる分にはよろしいんじゃないかと思いますが、国際ハイウェイ財団とやらが、意味不明なことを主張しているので、その辺については突っ込みを入れておこうかなと。


ちなみに、グーグルで検索したら財団のホームページに行くまでもなく、次の文章が提示されました。
(便利な世の中になりました。)

国際ハイウェイ財団は、日韓トンネルベーリング海峡構想による平和統一世界の実現を目指し、調査・研究・開発団体、機関等に対する助成をおこない、世界の繁栄に寄与することを目的とした財団です。


国際ハイウェイ財団がベーリング海峡構想も担当することになっているんですね。目的からすれば妥当なところだけれども、教会の食口も、この財団に関係している人でもなければ、そりゃ関心もないわな。

で、奇知外記って人もこんなのや日韓トンネルなんかをやたら推してくるわけです。
で、このハイウェイ財団は「日韓トンネルベーリング海峡構想による平和統一世界の実現」が目的らしいですね。昔々のその昔に、私が食口だったころであれば、黙ってまんせーしてたかもしれないんですが、現実世界に帰ってきて落ち着いて考えてみれば、こんなバカげた話はないんで、改めてこの人たちは何にも考えていないんだなと思いますね。

日韓トンネルだってそうだし、国際ハイウェイだってそうなんですけれども、道路を作ってみんなが行き来できるようになれば平和統一世界が実現できる、なんてことはありえないわけで、目的と手段の取り違えというか、なんかすごいことを考えているんですよというポーズにしか過ぎないと思います。

この国際ハイウェイ構想が提示された当時は冷戦時代で、東西の間に鉄のカーテンがしかれていて、お互いの行き来も制限されていた。なので、アメリカとソ連・中国がそれぞれの陣営を抑えていたので、文鮮明氏が、道路を作って障壁を壊せば平和な世界が実現すると考えたかもしれないわけで、当時としてはまだ意味があったかもしれません。

資本主義陣営と共産主義陣営を貫通する道路を通す、なんて当時は驚きの提案だったでしょうからね。


しかし、今となっては、いくつもの点で意味がない。


鉄のカーテン」なんて、古語になって久しい。EUでは旧東側も入ってきて、一度シェンゲン条約国に入れば、パスポートすら不要で自由に往来できる。

問題は自由に行き来できることではなく、その道路を使ってやってきたい/移動したい人たちが、誰なのか?ということなのですよ。

テロリストが車に小型の武器や弾薬を積んでその辺を走り回る。

難民が押し掛け、滞在先との間で軋轢が生じる。


国際ハイウェイだの国境を越えたトンネルが有効なのは、パックス・ロマーナの時代のように、全域を安全に統治できる強力な政治体制が機能している時だけで、ローマも弱体化した時には、同じ道を通ってやってきた周辺国に攻め込まれて国の終焉を迎えた。

つまり実現すべきは、先に平和な世界や、難民が生じなくてもすむ世界をどのように実現するか?であって、道を作って平和な世界を実現しましょう、なんてことは本末転倒にもほどがある。

今が、パックス・ロマーナの時代なんか問題にならないぐらい平和で統一された世界なら、ピースロードでもトンネルでも好きに掘ったら良いと思いますけどね。実情はそうじゃない。

ヨーロッパでは難民が日常的に問題となり、東西の新たな対立が取りざたされ、下手に道路があれば敵が攻めてくるかもしれない時に、そんなものを作る人はいないわけで、やたらトンネルだのピースロードだの、目的もよくわからずにそんなものを一生懸命に主張する人の気は知れない。


これが建設会社とかなら、営業活動の一環として、道路建設を進めるのも意味があるかもしれないよ。でも、宗教者としてのブログ村で、道路建設営業をうたってもしょうがない。どうしてもハイウェイやら道路を通したいなら、それに先立つ平和を、難民問題を、東西の新たな対立を、経済的格差をどうするのかを、本当に真剣に検討する必要がある。

 

ベーリング海峡トンネルの批判の時にも書いたけど、世界を一周するハイウェイが通ったとして、そんなところを自動車で走っていく人なんかいないだろと。1000km単位の輸送トラックぐらいは、それぞれの経済圏ごとにわんさか走ると思うけども、それならすでに既存の道で事足りている。

 

今まで世界を走ったことがない人が、ハイウェイができたから、それじゃ一貯日本からアフリカ南端の喜望峰まで行ってきますか、と言ってクルマで出かけるか?

喜望峰までいかなくたって、たとえばヨーロッパまでだって直線距離で1万数千キロもある。自動車で山谷を上り下りしたり、ぐにゃぐにゃと曲がるのも含めたら、きっとどんなにまっすぐに近い道を走っても2万キロにはなる。これを自動車で行こうとするとどうなるのか考えたことがあるのか?

一日500キロ走っても40日間走り続けないといけない。
一日500キロって東京―京都間ぐらいあると思うけど、そんなに走ってたら疲れて走るだけでおしまいだ。ついた街の観光するエネルギーすら残らない。それを40日も続けるって、なんのサタン分立基台?という突っ込みを入れてほしいのかな?

そしてヨーロッパにたどり着くなり帰ってきても往復80日。間にちょっと休みを入れたら90日を超える。
その間の食費やら宿泊代費用、4万キロのガソリン代。こんなに走ればメンテナンスやオイル交換もなんどか必要だ。タイヤだってダメになるかもしれないからその交換費用も見込んでおかないといけない。それらをすべて支払えばいくらになるのか?

この間、クレジットカードに付帯の保険を確認したら、日本を出発してから90日は海外旅行保険でカバーされています、と言っていた。

現地でテロにあって負傷・死亡したら、たぶん対象外となると思うし、92日目に北朝鮮あたりで事故にあってもこのクレジットカードの保険ではカバーされない。

そういうことまで気を使ってありとあらゆる対策を行いながら、拷問のような自動車旅行の世界へようこそ、と言われて誰が行きたがるのだろうか?

統一食口?

少なくとも日本の食口にそんなカネはないのは知っているので、食口でこんな阿呆みたいな旅行をする人がいるとしたら、中型バスに日本人の食口を運転主に命じた韓国人の教会長とその家族あたりくらいではないか?

冗談はさておき、仮に金持ちの運転好きな人がいたって、こんな拷問みたいな旅行なんてしたくないだろう。

こんなもの、誰のどんな目的のために作るのか?道路が作れるところでメリットがあるところは、すでに地元の自治体でも国でも作っている。新たに「国際ハイウェイ財団」とやらが乗り出して通す意味はない。


何か新しいものを作り出す。

それは素晴らしいことだ。しかし、どのようなものであっても、それを作ったら誰が利用し、どう使われ、そして誰が得をするのか?あるいは、もしそれが間違って使われたらどんなリスクがあるか?そのリスクは回避できているか?

その程度の想像力も働かない人が、「地上天国」や「世界平和」を語ることほど、滑稽なことはないと思う。