KIB: kurogane in black

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映画感想:『愛国女子 — 紅武士道』

 

本投稿は、以前鑑賞した幸福の科学さん製作の映画、『呪い返し師 —塩子誕生』 を鑑賞した時、全然「塩子の誕生について書いてないじゃないか」と思っていたんですね。

kib.hateblo.jp

そうしましたら、なんとその前編のような映画があると伺いました。

当時は、既に続編にあたる映画が公開されているのに、その前の作品のDVDなどがリリースされておらず、閲覧の機会がありませんでしたが、偶然にも2023年1月20日に調べたところ、DVD/Blu-rayやレンタルサービスが開始されていることが分かりました。

 

https://twitter.com/KuroganeInBlack/status/1616407307642101761?s=20&t=11C0arV2ILDiWws4nBi_Ug

 

TSUTAYA、値上げする!

さっそくTSUTAYAに行ってみたのですが、驚くことに料金が値上げされていました。

 

さすがに幸福の科学さんの映画に490円?しばらく待っても220円?

うーん。それは出したくないけど、なんとか見たいなー。

Amazon Primeでも440円(標準画質。高画質なら550円だったかな)

 

調べたら、U-NEXTでもポイントは取られるものの、31日間無料のお試し価格でもらえる600ポイントで閲覧できることが分かりましたので、さっそく愛国女子を見る為だけに会員登録しました(笑

 

video.unext.jp

映画『愛国女子 紅武士道』

映画の内容はこんな感じです。前回同様、映画.comさんからお借りしてきました。

宗教家の大川隆法が原作・製作総指揮を担当し、千眼美子が未来のために立ち上がる女剣士役を演じたファンタジードラマ。ある日、街で芸能事務所にスカウトされた大学4年生の大和静は、案内された事務所で突然男たちに襲われる。しかし、道場主の父に幼いころから鍛えられ、剣道4段で全国大会優勝の腕前を持つ静は、瞬く間に男たちを倒してしまう。そんな彼女の前に、芸能事務所の社長を名乗る高山悟志という男が現れる。高山の正体は、日本を古くから守ってきた創造神「天御祖神(あめのみおやがみ)」を崇める「日本救済会議」という団体の事務局長だという。高山たちから日本が滅亡の危機に瀕していることを知らされた静は、国を守るために立ち上がり、霊的世界を舞台に日本の未来と自身の命運をかけた戦いに身を投じる。

 

予告編動画

前回も紹介したので、今回も予告動画を置いておきます。

youtu.be

映画の感想

さて、こんな形で、なんと幸福の科学さんの映画を2作も続けて鑑賞することになったわけです。私にとって一作目の「塩子誕生」が酷すぎたせいで、ハードルがダダ下がりになった状態で見たこともありますが、正直、映画作品の完成度としては「愛国女子」の方が相対的にマシに見えるという奇妙な体験でした。

さて、それではさっそく、本題に入っていきましょう。https://twitter.com/whycultwhy/status/1589279626937106434?s=20&t=A4D3BtRCGiKNQ-unvqLhkA

https://twitter.com/hinacoccoro/status/1582005156912058369?s=20&t=A4D3BtRCGiKNQ-unvqLhkA

総評

上述しましたように、本作『愛国女子』は、その次に制作された「塩子誕生」よりは映画としてみれば、相対的にまだ見られるものになっていました。

誤解のないように正確に記しますと、「塩子誕生」が酷すぎたせいで、それと比較したらマシだったという事であって、映画作品としては酷いと思いました。

 

私は幸いにも「塩子誕生」を先に見たせいで、「あれよりマシじゃないか」と思えましたが、信者の方は「相対的に見てまだ作品にはなっていた愛国女子の後で塩子誕生を見せられたり、動員させられたりするのは堪らないだろうな」という謎の同情心を覚えました。

 

それにしても、塩子誕生よりマシだったからと言って、これが映画なのか?

また、何かのメッセージを伝えるための広報的性格を持つ動画であったとしても、それは伝わったか?と考えると、非常に厳しいものがあると思います。

 

個別コメント

①全体構成がだめ:これはもう宿痾のようになっている

「塩子誕生」の時にも同じコメントをしていますが、「塩子」よりマシだから映画として成り立っているかと言われたら、全然ダメダメでした。

「塩子誕生」が全5話のオムニバス形式の映画で、各エピソードも全体の構成やバランスがダメだったのと比べると、本作「愛国女子」は全体で一つのエピソードがつながっていて、各エピソードがとっ散らかってないだけマシというだけです。

物語りを通じて描き出そうとしている世界の成り立ちや、物語展開のための登場人物や、重要な役割を果たすアイテム、舞台設定の一つ一つの意味合いを持たせないまま、急にそれが登場してきて、唐突に役割を果たしたりする。

「塩子誕生」で言えば、塩子が登場する雑誌がポンとおいてあって、なぜかそこで塩子召喚の方法が書いてあったりしてましたが、あれは記事なのか広告なのか?そうかと思えば、いきなり塩子の正体がお嬢様であることも、唐突に記事に書かれた雑誌があったりする。

後述しますが、一番端的な例として、「愛国女子」では物語の後半で突如、重要アイテムかのように登場する勾玉。

なんかあればパワーアイテムなのかなと思ったけど、なんかそんな訳でもない。本当に唐突にアイテムとして使われ、なぜか「愛国女子」に託されたけど、その役割も良く分からないまま、愛国女子が無双して最後は勝っておしまい。

 

あの勾玉に意味はあったのか?と言われると、なくても物語が成立しているし、唐突に使われただけなので意味が良く分からない。

 

一事が万事で、物語全体の構成も、主人公の来歴や背景、そして狂言回し的な役割の人がなぜその行動をするのかといった納得性もない上、上述した通り、アイテムが唐突に登場して物語が進んでみてもあまり活躍せずに話が終わる。

映画として成り立っていない、というのはこういう事です。

 

話は一本線で進むので、「塩子誕生」みたいにいつ終わるのか分からずに苦悶しながら耐えながら見るということはないけど、それでも展開が雑過ぎて娯楽作品としても、何らかのメッセージを伝えるための広報動画としてもまったく面白くありませんでした。

②展開の雑さの具体例

全体構成が雑な例として勾玉を上げましたが、最初から最後までそんな事例だらけです。

まず、冒頭のシーン。夜の寂しそうな道。あの有名な千眼美子女史がいきなり登場。どこかに急いでいるところに覆面の暴漢2名が襲ってくるのを、あっという間に撃退。誰かがそれをビデオ撮影している。たまたま居合わせたカップルに警察への通報を任せて、急いで去っていく大和静(千眼美子)。

どこに急いでいるんだろう?と思うけど、場面が変わると昼になってる。

え?彼女はなんのためにどこに急いでいたの?

暴漢が持ってたバットも暴漢の方に投げ返した状況で、素人のカップルに警察への通報とか対応を任せてたらダメじゃん。というのは、後で動画を取ってた人までグルで、完全なやらせだったことが分かるけど、カップルの彼女は無関係の人だったらしく、なんとこの男性、振られたらしい。

グルだったから警察への通報もしてないんだろうけど、雑すぎる展開。

 

大和家の存在もなんかわざと臭い会話で語られておしまいだったりする。大和家の先祖は、北辰一刀流千葉周作と非公式で戦って勝ったらしいけど、それ以後、千葉周作は他流試合を禁じるようになった程とか...

ねえ、どうなのこの雑設定...?

TVのニュース解説に出てくるのは信用できないけど、YouTubeの討論番組のこの人はマシよ、とかうへぁ!な展開からの、いきなり「新聞への投書」が文字通りいきなり採用され、それを読むYouTubeの討論番組の論客とか、設定が濃すぎんだろ。

なんか、1時間枠の仮面ライダーのショッカー軍団を見させられているような気分になったぞ。

しかも、ニュースでやってるのは「ソドラ共和国から弾道ミサイル発射!」で、地図はまるで中国。中国っぽい。ソドラはソドムからのもじり?時事ネタを映画に盛り込むなとは言わんけど、もう少しこう取り込み方とかやりようはあると思うのですけどね。

 

と思っていたら、いきなり怪しいお兄さんがやってきて、なんと「芸能プロダクション」へのスカウト!

念のために友達が事務所までついていったのに、なぜか「本人はあちらへ」と言われて、あっさり「じゃあ、頑張って」って送りだしたらダメなんじゃないの?

と思ってたら、いきなり怪しい道場で襲い掛かる暴漢4人組!

ここから高山さんとかいうリーダーが説明を始める。

先日の暴漢二人も自分たちがやらせてましたと。

 

この調子で書いていたら終わらないので、ここから超スピードで行きます。

 

いやー。超スピードと言っても、ネタだらけで、どうしようかっていうぐらいあります。

 

大和静を見つけ出す前に、天御祖神が高山リーダーに語り掛ける内容が、「愛国女子を探し出せ、そのものが日本を救うだろう。」

え?なにこれ、ナウシカ?「そのもの青き衣をまといて金色の野に降りたつべし」ってやつ?それで芸能プロとか、動画で時事問題を扱う番組作ったり、裏では道場作ったりしてるの?

そして、芸能プロでーす!といって連れてきていきなり暴漢に襲わせておいて「仲間にならない?」って、そんなアブナイ団体、さっさと縁切れよ。

と思ったら、(物語の展開上、当然なんだけど)考えさせてくださいと言っちゃう主人公。

そして、いきなり街宣やってたお姉さんたちと会話したと思ったらいつの間にメンバーに加入して街頭演説やデモしたり、いきなり投稿が掲載された新聞社に就活始めてみたり、あやしい団体で修業したら幽体離脱の訓練が始まるなり、全員簡単になんらかの幽体離脱ができちゃう。

そして主人公・大和静が幽体で出会うのは紅武士道を極めた愛国女子・大和静の守護神なんですが、これなに?巴御前

大和静というから静御前…でもないのよね。静御前白拍子として舞は上手だったでしょうけれども、あそこまで武装して登場するイメージはないと思います。

これも驚きだけど、幽体離脱の際に糸でつながったような描写をするにしても、もう少しやりようがあんだろ。

と思っていたら、実は仲間のメンバーが首相補佐官(なんと国広富之だった!)の子供だったり、その首相補佐官は大和静の父親(西岡德馬)の弟子だったとか、聞いてないよそんな話な展開が怒涛のようにやってくるけど、そんなの序の口。

幽体離脱した愛国女子3名は、揃いも揃って特殊能力を発揮します。

希島凛演じる李才華(り・さいか)は、高周波の音を口から出して対象を破壊する。なりたりな演じる日野実千(ひの・みち)は、超高速で動き、目から光を出して悪霊をやっつける。

李才華はDCワールドのブラックキャナリー

 

warnerbros.co.jp

日野実千は同じくDCワールドのフラッシュかな?

 

warnerbros.co.jp

こんなキャラクターの日本人のヒーローっていたかな?大和静が巴御前っぽいし、こんなスーパーパワーはなくて剣道が強いお姉さんだけなのに、なんで?

また大和静や李才華たちが幽体離脱している時に、いきなりどこかから暴漢たちがやってくるんだけど、ナニコレ?ソドラ共和国の工作員?いったいいつやって来たの?道場で一応、撃退しているけど、それだけ?

一方で霊界では黄泉大魔神とかいうこの世の始めからいそうなラスボスみたいのが実は八岐大蛇で、日本をずっと守ってきたのに裏切られたので黄泉大魔神になりました。はいぃ?

しかもその八岐大蛇が元寇の時の神風を引き起こした存在でした!(ギャー!)な場面まで描かれていて、展開が怒涛すぎてコスモメイトさんの友好団体、「みすず学院」の怒涛の英語力!の広告宣伝を思い出したほど。

 

閑話休題。この黄泉大魔神と最初は互角に戦っていたように見えた大和静ですが、いきなり黄泉大魔神がお腹から剣の生えたタコの足みたいなものを生やしてきて襲い掛かると、日本刀も叩き落され、危機一髪の状態に!

彼女は幽体離脱をして霊界におり、李才華も日野実千も力を使い果たして幽体離脱が解かれてしまい、もう助けに行く体力はない。どうする大和静!という緊迫した場面で、黄泉大魔神に切られて満身創痍となり、もはや幽体離脱ができないはずの高山リーダーがガッシとばかりに勾玉をつかみ、自分の首に掛けたかと思うと幽体離脱の準備をしはじめます。

お?もしかして勾玉は実は秘密の力を秘めたパワーストーンなのか?と思ってみていましたが、その後、特にそれらしい描写もなく、ヒロイン大和静もそれを受け取って首に掛けるだけです。

その勾玉があったから天叢雲剣を呼び出せるの?なんかそんな説明してたっけ?そんなすごいアイテムなら、勾玉ができた由来とか天叢雲剣との関係とか、何か分かるような伏線が置かれてませんか?なんもなかったよね。いきなり登場して、高山リーダーから大和静に何かが託された象徴っぽいアイテムというだけな感じ。


究極的に最後まで意味が分からなかったのが、ソドラ共和国から飛んでくるミサイルを操ろうとするのが黄泉大魔神なのに、霊体離脱をして霊界で黄泉大魔神を倒した上で、なぜ首相(これがまた、最近年金支払い拒否で話題の中条きよし先生ではございませんか!)を動かして、ミサイルを迎撃しないといけないのか?

 

「大和静」がいる世界の特殊なアイテムや登場人物を出すなら、その意味やら背景、そしてそれが「この世界に存在することの妥当性」をちゃんと描いてくれないと、あちこちで適当に撮影してきた動画をつなぎ合わせて一本の動画にして、なんと映画にして売り出しちゃいました!にしか見えない。

 

ここに書いたのは代表的な例であって、全編を通してこんな感じで、唐突なシーンが切り貼りされていく感じ。

そうなると「あれは何?」「なんでそうなった?」「重要そうに見えた勾玉は、結局なんだったの?」みたいに、いちいち頭のなかに「ハテナマーク」が乱立するので、映画の世界に没入できないのです。

映画として成立していない、というのはこういう点です。

③伝えたいメッセージは何だったんだろう?

本作は、「塩子誕生」ほど説教臭くないので、広報のための映画、宣教のための映画ではないのでしょう。

しかし、この映画をわざわざお金をかけて作り、信者・非信者の皆さんに見てほしいと思った点は何でしょうか?

 

ソドラ共和国がミサイルを撃ってくるから、国防に力を入れろ?

そのために国民一同、武道を学んで心身を鍛錬しろ?

大和魂は大切だぞ?

ホツマツタヱに出てくる天御祖神(あめのみおやがみ)???

主人公の大和静ら4人が修行するために必要な修行として、いきなり八正道が出てきます。えええええ?神道なの?仏教なの?

紅武士道とかいう副題から、武士道推薦?

(最後は、総裁自ら竹刀を振ってましたしね。)

ということで、あれもこれも本当に滅茶苦茶にてんこ盛りになってて、何がこの映画で本当に伝えたかったことなのか良く分からないのです。

 

④「映画で伝えたいメッセージ」もあいまいなら、映画で使われる標語も乱舞してて、覚えきれない

上の内容とも連結しているのかもしれませんが、あちこちで標語というかスローガンみたいなものが次から次へと出てきます。

 

・一日一生

冒頭、静の父ちゃんが、「一日一生とはどういう意味か?」と問いかけて、わざわざ意味を言わせている。

 

・八正道

修行の時には、「正見、正思(惟)、正語、正業、正命、正精進、正念、正定」と書かれているものを見ながら、これに沿って修行させられる。八正道の表記はなく、正思惟の代わりに正思とだけ記載されていますが、全体を見れば八正道ですよね、これ。

 

・波長同通の法則

会話の途中でいきなり「波長同通の法則」とか、何の説明もなしに使われます。

 

・至誠にして動かざるもの、いまだこれあらざるなり

大和静の同志メンバーの父親で、大和静の父親の弟子だった首相補佐官座右の銘でした。これもいきなり会話で使われる。

 

・勇気とは死を覚悟した時にでてくるものです。

幽体離脱した大和静の危機に、幽体離脱はもうできなかったはずの高山リーダーがいきなり勾玉を手にとって幽体離脱をして駆けつけ、大和静に命を懸けて伝えた言葉。

 

こんだけ次から次へと、しかも文字が表示されるものもあれば会話の中でいきなり使われるものもあって、とても覚えきれないし、何が重要なメッセージなのか?

コアとなるものはどれか、何もわかりません。

 

スパイダーマンの映画では「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という有名なセリフがありますが、とことん、このセリフだけです。このセリフがでたらスパイダーマンが思い浮かぶほど。

そして作品が変わっても、必ずピーター・パーカーが持たされた力と、その使命を背負う重さを反芻しながら物語が進む。

 

dic.pixiv.net

これと比べて、次から次へと北斗の拳ジョジョスタープラチナみたいに乱れ撃ちで繰り出されるスローガンの数々に、視聴者のエネルギーはゼロよ!

 

どれほど映画を見ていて困惑するだけなのか、映画の製作陣は本当に反省してください。何が言いたいのか、本当の本当に分かりません。

 

⑤ラスボスの設定が杜撰

上でも少し触れましたが、八岐大蛇が日本をずっと守ってきたのに裏切られたので黄泉大魔神になったというのも良く分からない。

いきなり元寇のシーンでキングギドラみたいな黄金の羽が生えた八岐大蛇が大嵐を巻き起こして元寇を撃退するシーンが唐突に出てくるけど、本当に唐突過ぎて面食らいましたよ。

何ですかあれ?その八岐大蛇が裏切られて、黄泉大魔神になるの?

いやー。なんかそういう設定にするにしても、もうちょっとこの、なんというか描き方とか導入の仕方があるでしょうよ。

 

八岐大蛇は素戔嗚に酒を飲まされて退治された大蛇で、その尻尾からでてきたのが天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)。

ja.wikipedia.org

この天叢雲剣もいきなり天から降ってきて、アーサー王の伝説の剣のように岩に刺さった状態で現れて、案の定なんの問題もなく大和静がそれを抜いて、どんだけ盛り上がるヤマ場になるのかなと思ったら、文字通り一刀両断して真っ二つになって終わっちゃったよ。

 

えええええ?

元寇の大群を大嵐で追い返す能力を持った存在が、あっさりそれ?

と思ってみてたら「塩子誕生」の赤鬼のように、元の役割を果たしなさいと大和静にいわれて、涙を流してありがとうと言って、金色に輝く八岐大蛇が天上界に戻っていきましたとさ。

 

えええええ?

 

と思って驚いてたら、こんなもので驚いちゃいけない。

上でも書いたように霊界で黄泉大魔神を倒すのと合わせて、ソドラ共和国のミサイルを迎撃するために中条きよし氏演じる首相を説得せなならんのか謎だと思ってたんだけども、本当に首相補佐官の説得で首相が迎撃ミサイルを発射!

 

と思ってたら、なんとこの迎撃ミサイルを八岐大蛇が後ろから煽って、ソドラ共和国のミサイルが迎撃されました。

 

えええええ?

 

めでたしめでたし...

......なの、これ?

もう頭がパンクしそうよ!

 

⑥音楽、本当にどうにかして

ここまで書いてきただけでもうおなか一杯なんだけども、これだけはやっぱり言っておきたい。

正直、映画としてダメなのは間違いないんだけども、なんの遠慮も会釈もなしに割り込んでくる歌をやめて、別なBGMだけにするだけで映画の出来栄えがはるかに向上すると思います。

 

唐突に歌が始まったと思ったらそこに俳優がセリフを言いだす。両者が被るので聞いてると混乱する。

そして歌詞がまた酷い。

 

例えば「天叢雲剣」が唐突に現れるシーンの歌。

降りてくる 降りてくる 降りてくる
遥かなる彼方から

降りてくる 降りてくる 降りてくる
遥かなる宇宙より この大和の国を作らんと

 

ヽ(・ω・)/ズコー

 

三回繰り返すのが好きなのはわかったし、技法としては効果的なのは知ってるんだけど、やりすぎなのよ。

そして「塩子誕生」の時にも感じたんだけど、今回の映画ではっきりしたのが、「キミ」を多用しすぎなのと、歌詞がうまく音符にのっていないから、聞いていて耳に入ってこない。

歌詞が何かを唄ってるけど、素人がなんとかひねり出しました感が満載の陳腐な言葉を連ねるので聞いててなんとも言えない脱力感にさいなまれてしまいます。

さらにダメ押しで、映画の内容とテーマソングが合致してないので、映画の最後に流れてきても、映画の内容をかみしめることができない。

 

その端的な例が最後のテーマ曲、「愛国女子は往く」(もう、タイトルへのツッコミは禁止にしといてやんよ)

 

愛国女子は往く

 

何が悲しくて
君はそんなにも強いの
紫電一閃 Flash
君の刃は、闇を切り裂く
君に襲い掛かる魔物たち
おおきくて、恐くて
口が耳まで裂けて
赤い舌に白い牙
恐ろしい爪が
君の首を 命を狙う

(中略)

愛国女子は遥かなり
孤独の中 君は知った
ヒロインは独りではないと
強さこそ君の愛
弱きを救う 君の涙

 

「何が悲しくて」って、エンディングのテーマソングの冒頭で使うか?その表現は辞書的には、こんな風に説明されています。(強調は管理人)

話し手から見て意欲が湧かず憤りすら覚える行為をする必要に自分自身あるいは第三者が迫られた場合にその行為を修飾する表現

 

ja.wiktionary.org

こんな意欲がわかず憤りを感じるような必要性に迫られる行為につく修飾語の次の歌詞がすごい。「君はそんなにも強いの」

...

なんとか我慢したけど、ダメだ。

_(┐「ε:)_(ズコー)

 

いや、違うだろ普通。

「何が悲しくて 君はそんなにも強いの」...?

 

そして、ここでも「キミ」が使われているけど、次から次へと「キミ」のたたき売り。

本当にうんざりするほど「キミ(君)」が出てくる。

 

歌詞に登場する「襲い掛かる魔物たち」は、別に大きくないし(恐そうだけど)、口が耳まで裂けてないし、赤い舌に白い牙もそれほど目立つほどじゃない。

 

「ヒロインは独りではないと」は、音の数と音符とがあってないので、聞いた瞬間に聞き取れない。

 

製作陣の皆さんには、本当にこの変な歌をかぶせるのをやめるだけで映画の印象が変わりますよ、とお伝えしておきたいです。

 

⑦なんというか、雑記メモのようなもの

今回は映画館ではなく自宅でストリーミングサービスで鑑賞したので、途中でメモを取ることができました。

本当は倍ぐらいにツッコミどころがあるのですが、もう収拾がつかなくなるのと、それらをまとめるカテゴリの設定すらできません。

それでもあえて、これだけは書いておきたいと思ったことを3つほど、この雑記メモとして書いておきます。

 

ア)地味に統一教会共産党の批判してる?

主人公・大和静がトントン拍子でメンバーに加わり、街頭演説しているところに、いきなり鉄パイプで殴りかかる暴漢がでてくるのですが、ニュース動画で、なんと「元共生党運動員」として紹介されていました。もう大爆笑。

それから、この団体のリーダーだった高山さんが語るには、「日本にはソドラのスパイが数多く侵入し、政治家やマスコミ、言論人を取り込み、世論を操作している。そして、それを霊界から操っている奴がいる。」とか語り始めて、「ちょ、おま、それ統一教会のことじゃん!」と、こちらも爆笑が止められませんでした。

 

イ)大和静、なんと武蔵や小次郎とも戦える実力がある!

投書を取りあげてくれた新聞社への就活は大失敗でしたが、映画のエンディングで、父親の道場を継ぐことにすると話をすると、父親のセリフがすごい。

武蔵や小次郎とも戦える実力があるって、いやー。それはいくらなんでも盛りすぎちゃいますやろか。

武蔵と戦えるおなごはあずみだけだで。

 

www.shogakukan.co.jp

 

ウ)千眼美子希島凛の教団内での立場は変わっちゃったの?

今回の映画では、千眼美子さんが主人公でした。

千眼美子:主人公 大和 静(剣道の達人)
希島 凛:助演  李 才華(空手の達人)

 

この次の映画、「塩子誕生」では千眼美子さんはでてこず、主人公 賀茂野塩子役は希島凛さんが務めています。

つまり、「愛国女子」と「塩子誕生」は別映画ということですね。

 

2作を見る限りでは、私は個人的には千眼美子さんの方が演技力はあるように思いました。「塩子誕生」では大川総裁の奥さんの名前をもじったヒロインにまで抜擢された希島さんに対して、千眼さんは端役としての登場もしていません。こういう団体でよくある、総裁の眼鏡にかなわなければ外されていく、というようなことにならないと良いのですが。


もう幸福の科学のプロダクション以外で女優を務めることはできないのでしょうし、宗教的な情熱に基づく選択とは言え、残念な結果にならないことを祈らざるを得ません。

 

最後に

愛国女子、アクション映画としては「塩子誕生」よりは楽しめましたが、その分、残念なことも多数目立ってしまいました。

「ネタ映画」としてブログ記事のための鑑賞には適しているかもしれません。

次の映画がどういうことになるのか、温かく見守りたいと思います。